函館市は大雪時の備えとして、町会や公共施設に貸し出す小型除雪機180台を購入する。総事業費は約9000万円で、市民協働による除雪体制を充実させる考え。除排雪作業の出動基準も再考し、新たな除雪計画案を7月末までに提示する。
21日に開かれた函館市議会経済建設常任委員会(小林芳幸委員長)で市土木部が、除雪計画見直しの方向性を示した。
小型除雪機は、79の町会に106台(予備機4台含む)、学校や消防署など67の公共施設に74台を配置する。除雪機の配備に関し、4月に行った全町会への意向調査などを基に台数を決めた。燃料代や保険費用は市が負担する。
購入資金は、全道の各自治体が災害時に備えて積み立てている「道市町村備荒資金」から借り入れる計画。今年度の金利4000円と燃料代などを含めた約150万円を追加する補正予算案を6月の定例市議会に提出する。
昨年11月から今年3月までの函館の累積降雪量は、過去最多の510センチを記録。除排雪作業が遅れ、市に寄せられた苦情は1万件を超えた。市は、小型除雪機を貸し出す既存の制度「スノーボランティアサポートプログラム」を拡充することで、生活道路の速やかな除雪につなげたい狙いだ。
委員会で、藤井辰吉氏(市政クラブ)は「いい変更だが、制度の浸透率を高める必要がある」と注文。阿部善一委員(民主・市民ネット)は「長続きしないのではないか」と懐疑的な見方を示した上で「狭い道路を除雪した後、排雪をどこに持っていくかも問題だ」と指摘した。
これに対し、同部は「市街地に新たな雪捨て場を確保したい」とし、緑の島や廃校予定地、空き地などから候補地の選定作業を進めていると説明した。
また、今年度4億円を計上した除雪費に関し、3億円を追加補正するとの一部報道について、同部は「さまざまま施策を積み上げていく必要があり、フライングだ」と否定した。
市は記録的な降雪の経験を踏まえて見直した除雪計画案を、9月の定例会前に開く同委員会で示す予定。同部は「他都市の状況も参考に、実効性のあるよりよい除雪計画を策定したい」としている。(山田大輔)