函館市は、市内唯一のごみ焼却処理施設「日乃出清掃工場」（日乃出町）の整備工事に伴い、すべての焼却炉を停止する期間や試運転期間に工場内の貯留ピットが上限を超え、他自治体の施設での焼却など対策を講じても処理しきれない量の可燃ごみが発生した場合の埋め立て方針を示した。七五郎沢廃棄物最終処分場（東山町）内に可燃ごみ埋立箇所を新設し、直近の１０月の停止期間に備え、９月下旬の完成を目指す。
　整備工事は２０２３年４月に着手し、１、２号炉は１０月～２７年１月で更新し、この間は３号炉のみで処理。３号炉の工事期間である２７年２月下旬～２８年１２月は１、２号炉の試運転を兼ねて処理する計画だが、２９年３月まで焼却炉が全停止する期間が計７７日間発生する。
　停止期間中の対策として市はこれまで、市民や事業者へのごみ減量の呼び掛けや工場内の可燃ごみ貯留ピットへの最大限積み上げ、北斗市の「クリーンおしま」（館野）への焼却処分依頼などを示し、札幌市への焼却委託も検討。こうした対策を講じても処理できない場合の最終処分場への埋め立てについては専門家などの意見を基に方針の策定を進めてきた。
　可燃ごみ埋立箇所は処分場事務所の南側に設置し、敷地面積は１７５０平方メートル。ごみを投入する際はバックホーで幅５メートル、長さ６０メートル、深さ２メートルの溝を掘削。収集車が下ろしたごみをホイルローダーで溝に落とし、臭気拡散やごみの飛散を防ぎ、カラスなど鳥獣対策のため、土をかぶせてブルドーザーなどの重機で転圧する。また、カラスの飛来に対しては防鳥器具などを設置し、周辺環境への影響を観測するため、臭気測定器によるモニタリングも実施する。
　街路樹の剪定や道路の草刈りなどで出た事業系の草枝類は８月から埋立処分場に受け入れ先を変更。これにより、搬入車両の増加が見込まれることから、家庭系燃やせないごみの自己搬入については同１日から事前予約制とし、付近の渋滞緩和を図る。
　市は可燃ごみの埋め立てはあくまでほかの対策による処理が難しい場合の最終手段と位置付けており、市環境部埋立処分場は「埋め立てにはリスクが伴うため、休炉期間中はごみの削減に協力いただきたい」としている。（飯尾遼太）