4日午前、函館市街地でエゾシカ1頭が目撃され、函館中央署員とハンターら約40人が追跡し、通報から2時間後に川原町の函館工業高校グラウンドで捕獲した。シカは逃げ回る中で車両にぶつかるなどしたが、けが人はいなかった。
同署などによると、シカは雄で体長約1・5メートル。推定年齢3~4歳。朝から松陰町の市電線路沿いなどで目撃情報が相次ぎ、柏木町の市道では軽乗用車にぶつかる事故を起こした。ハンターの1人には午前8時半ごろに連絡があり、同署には同10時5分に住民から通報があった。シカは正午前に函工高グラウンドに入り、午後0時5分ごろ、サッカーゴールの網に突っ込んで倒れたところを署員らが取り押さえた。
ハンターによると、シカは東山から下りてきて、人や車に追われながら市街地に迷い込んだ可能性が高い。捕獲後、山に返したという。
当時、グラウンドで部活動は行われておらず、校舎内に30人以上の生徒がいたが混乱はなかった。同高3年の石島秀航君(18)は「野生のシカが街中に現れるとはびっくりした」と話していた。
道によると、シカによる渡島管内の農林業被害額(2014年度)は600万円。13年度の被害額1800万円より大きく減った。600万円のうち、函館市が300万円を占めるており、主な生息地は市東部の鶴野町や米原町、白石町などとみられる。渡島総合振興局は「函館市街地でシカが出没したのは聞いたことがない」(環境生活課)としている。(田中陽介、山崎大和)