道南を拠点に活動する伝統芸能グループ「北海道滑田鬼剣舞愛好会」が今月、名称を「滑田系函館鬼剣舞」(大島清貴会長、会員25人)に変更した。団体として「昇格」を意味するもので、会員の喜びもひとしおだ。新名称になって初めて出演する「第55回北上・みちのく芸能まつり」(8月5~7日・岩手県北上市)に向け、1日まで北斗市千代田会館で合宿を行い、練習に励んでいる。
岩手の郷土芸能である「鬼剣舞」は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。1300年前から続く五穀豊穣や悪霊退散、衆生済度を願う踊りで、同団体は北上市滑田鬼剣舞保存会の公認を受けている。上部団体の同市鬼剣舞連合会の命により、今回名称変更が決まった。
同団体は函館市恵山地区が発足の地で、現在の会員は函館、北斗、森在住者で構成。踊り手は9~24歳で、小学生から社会人までが所属している。
みちのく芸能まつりへの出演は今年で8年連続で、同団体は6、7両日に計3公演7演目を披露する。7日は1公演3演目で単独公演となる。
多くの観客の前で踊る最高の舞台に向け、会員たちの士気も高まっている。合宿は29日に始まり、3泊4日の日程で1日に7~8時間の練習に打ち込む。このほか、普段は森と函館で集まることができるメンバーが週に3回練習に励んでいる。
今回まつりに参加するのは踊り手10人と同行6人の計16人。旅費は全て自己負担だという。昨年入会し、最年少の函館赤川小学校4年の加藤美海さん(9)は「太鼓をたたきながら踊るところが楽しい」と魅力を話す。森砂原中3年の滝本美波さん(14)は、昨年に続き2回目の出演で「踊りは体力勝負なので、毎日5キロを走って体力づくりに努めてきた。本番は緊張すると思うけれど、練習の成果を出し切りたい」と目を輝かせる。
大島会長(56)は「名前が変わり、今年は例年以上に力が入っている。函館の名前を大いに売り込んできたい」と意気込む。(山崎大和)