フィンランド発祥のスポーツ「モルック」の第19回世界大会が2024年8月に函館市で開催されることが20日、決まった。欧州以外での開催は初めて。日本モルック協会(JMA、八ツ賀秀一代表理事)が函館を開催候補地に日本への誘致を働きかけていた。仏・サモエンヌで21日まで開催中の世界大会には17カ国168チームが出場中。函館モルックの会(八ツ賀千穂代表)の活動を中心に函館近郊でも愛好家が増えている競技で、国際大会の決定でさらなる人気が高まりそうだ。
世界大会に合わせて日本時間の20日未明に開かれた国際モルック連盟(IMO、14カ国加盟)会議で決定した。
モルックは、数字が書かれた木製のピン「スキットル」めがけて木の棒「モルック」を投げて、相手より先に50点の到達を競う投てきゲーム。相手との駆け引きを含めて戦略性も高い一方で、子どもから高齢者、障害者も分け隔てなく楽しめるユニバーサルスポーツとしても注目が集まる。
世界大会は04年7月に第1回大会が開かれ、翌年以降は毎年8月に開催。フィンランドで13回、仏で3回、チェコで1回開かれた。最多で268チームが参加した大会もあった。過去2年はコロナ禍で中止となったが、3年ぶりとなった第17回大会には日本からの13チーム(1チーム4~6人)が出場中。国別対抗戦やペア戦も行われているほか、JMAアンバサダーでお笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢さんも出場している。
函館大会の開催が決まり、国際交流団体の函館フィンランド協会の島昌之会長(70)は「モルックの面白さと魅力を感じてもらい、競技が知れ渡っていくことを願う。世界の人たちと交流し、函館の魅力をアピールしていきたい。2年間、しっかり準備していく」と喜ぶ。
この春から競技を始めたトラベリングバンドひのき屋代表のソガ直人さん(51)は「子どもが大人を打ち負かしたり、心理的な駆け引きも重要で奥深さもあるが、深く考えなくても楽しめるユニークな面白さがある。運営している学童保育でも大流行していて、飽きずに長続きしている」と魅力を話す。
また、函館で開催する国際民俗芸術祭で毎年、海外のゲストを迎え入れてきた経験から「私たちがごく自然にやっていることでも海外の方はホスピタリティーが素晴らしいと言ってくれる。特別じゃなくても普段の楽しんでいる姿で魅力を知ってもらえるのでは」と話している。(今井正一)