【奥尻】町は3日から16日までの2週間を新型コロナウイルス感染症の感染拡大を封じ込める集中対策期間として、住民に「不要不急の外出を控える協力と、マスクの着用や手洗いなど基本的な感染対策の徹底を」と独自に外出自粛などを呼び掛けている。
島内で感染者が多数確認されたことを受けた処置で、防災行政無線や町ホームページで呼び掛ける。島内の施設では、図書室や多目的ホールなどを備える海洋研修センターが、同期間に合わせて休館する。
町教委事務局によると、1日から休業し3日に再開予定の青苗小が、島内2幼稚園と奥尻小とともに4日まで休業した。2日に再開した奥尻中も、3日から休業した。週明け7日以降については、感染者との濃厚接触者としてPCR検査を受けている学校関係者の検査結果をみて判断する。
町立奥尻高校は3日から分散登校を実施。島外から入学した「島留学生」は通常通り登校しているが、島内出身の生徒はビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を通じ、自宅からオンラインで授業に参加している。分散登校は9日までを予定している。
道、道南の病床「逼迫する状況でない」
奥尻町で発生した患者は町内唯一の医療機関では受け入れができず、道によると、基本は海上保安庁の巡視船や道の漁業取締船で島外(江差港)へ運ぶ。緊急度の高い重症者は航空機で搬送するケースも。江差港からは道が契約したマイクロバスやジャンボタクシー、保健所の車を使い道立江差病院や市立函館病院などで受け入れる。感染症のため、一般市民と同じ交通手段は利用できず、外部機関の協力を得ている。
道は患者推計を踏まえた病床の確保について「フェーズ3」に設定し、道南圏で計93床(うち重症12床)を確保。奥尻からの患者は人数や症状に応じて各病院が受け入れを融通している。軽症や無症状の人が療養できる道の宿泊療養施設「東横イン函館駅前大門」(110人程度収容可)もあり、道は「道南圏全体で病床が逼迫(ひっぱく)する状況ではない」との見方を示している。ただ、今後も奥尻島内で患者が急増すれば、道は「冬季はしけで船の運航ができない可能性もあり、町独自に出した不要不急の外出自粛は賢明な判断だ」としている。