函館市や函館商工会議所などでつくるはこだて雇用創造推進協議会は、函館の魚介類を活用した新たなご当地グルメとして、煮込み料理「はこだてチャウダー」の普及を提案している。海のダイニングしろくま(末広町)の関本修男シェフの協力で、昆布だしを使ったミルクベースのスープにイカやサケ、ホタテなどがふんだんに入ったレシピが完成した。
28日に函館短大付設調理製菓専門学校(柏木町)で開いたセミナーで、市内の飲食店関係者ら約40人に公開した。函館を代表する食材の魚介類の魅力を引き出す新メニューの開発を目指し、米国の煮込み料理のチャウダーに着目。しろくまの事業協力を得て8月から試作を重ねてきた。
ご当地グルメとして定着させるため「はこだてチャウダー」の定義やルールを定めた。正式名称は「はこだてシーフードチャウダー」とし、道南産の魚介類を3種類以上使用し、だしに函館産コンブ、食材に道南産野菜の使用を推奨することなどを決め、協議会の許可を得た飲食店が名称を使用できる。
関本シェフが試食品で提供したチャウダーは、イカ、アサリ、サケ、ホタテの4種類の魚介類とベーコンやジャガイモ、タマネギなども合わせて煮込んだ。イカミンチを挟み込んだパスタ「ラビオリ」をトッピングに添えた。
セミナーではまた、井上戦略PRコンサルティング事務所(東京)代表でカレー専門家として知られる井上岳久さんが、神奈川県横須賀市のカレーや埼玉県鴻巣市のうどんを事例に行政主導の取り組みに積極的に参画し、食材や味について追求した店舗が成功していると紹介。「ご当地グルメでのまちおこしをやっていない都市を見つけるのが難しい。チャウダーはその商材として盲点だった。函館のイメージとの相性も良く、パイオニアとして成功すれば先行利益を受けることができるだろう」と太鼓判を押す。
同協議会は、ご当地グルメとして認知されるよう、メニューに「はこだてチャウダー」の採用を飲食店などに呼び掛ける方針。(今井正一)