30日午前8時25分ごろ、カムチャツカ半島付近を震源とする地震があり、気象庁は同9時40分、北海道から和歌山県の太平洋沿岸部側に津波警報を発表した。渡島管内では最大3メートルが予想され、午後3時51分、函館港で30センチを観測した。函館市など9市町では避難指示が発令され、4327人が避難した。同市では避難中に熱中症などの症状で4人が救急搬送された。建物など被害の報告はなかったが、函館市電やJRの運休、商業施設の一部が営業を取り止めるなど混乱の様子が見られた。
地震は函館市新浜町で震度1などを観測。発生直後、同庁は地震の規模を示すマグニチュード(M)を8・0とし、北海道太平洋沿岸東部・中部に津波注意報を発表したが、同9時40分ごろM8・7に修正。同時に北海道太平洋沿岸の東部から西部(胆振管内、松前町白神岬南端以東の渡島管内)で津波警報に切り替えた。
函館市内では防災無線で津波警報の発表を周知し、浸水エリア内の住民6万4331世帯、10万7082人に避難指示を発令。市民や観光客が緊急的に避難するホテルなどの津波避難ビルは66カ所設けた。同市災害対策課によると、午後3時現在、市内で避難中の4人が熱中症とみられる症状で緊急搬送された。このほか、渡島管内の長万部町から福島町までの各町で避難所は計116カ所設けられた。
津波警報の影響で、JR北海道は函館と札幌を結ぶ特急北斗で、北斗7号以降を運休。津軽海峡フェリー、青函フェリーも運航を見合わせた。函館市電も運行を取りやめ、函館バスは北桧山営業所管内以外で運行を取りやめた。
夏休みシーズンに入ったこともあり、市内観光地のベイエリアでは国内外の観光客が訪れていた中で防災無線のサイレンが鳴り響いた。金森赤レンガ倉庫では開店直後だったため客足は少なく、客に津波警報発表と近くの避難所を案内し、休業とした。近くを家族連れで訪れていた室蘭市の自営業男性(55)は「目当てにしていた飲食店だけでなく、コンビニエンスストアの休業も仕方ないが、ガソリンスタンドも営業していないので、帰る分の給油が心配」と話していた。
西部地区にある二十間坂、八幡坂、護国神社坂などの坂道では、付近の住宅や事業所などからの避難した人の車で一時渋滞が発生した。市内豊川町の主婦は「テレビで高台に逃げてという声が連呼され怖くなった。用意していた避難袋を持ってすぐ車で移動した」と話した。函館山登山道(道道立待岬函館停車場線)では、市内を眺望できる場所に車を止め、心配そうに眺める人が見られた。富山市から車で旅行中という男性は「フェリーで下船し小樽から函館に来て、函館山を上っている最中に津波警報を聞いたので降りられなくなった。能登半島地震では石川県などに港に被害があったため、帰りのフェリーに乗船する港に影響が出ないか心配」と不安げな表情だった。
北海道中学校体育大会の軟式野球競技が行われていた知内町、木古内町のグラウンドでは津波警報を受けて競技を中断。知内町しおさい野球場会場では、選手らは近くにある知内高校、知内中学校に避難。木古内町の鷹取野球場は海抜約11メートルにあり移動はなかった。ハンドボール競技会場の函館アリーナでは試合開始前だったため、選手・関係者は2階スタンドに移動。午後2時半に全試合の順延を決定し、選手らは安全を確認し会場を後にした。



