難病「ギラン・バレー症候群」と闘いながら、函館で漫画家として活動するたむらあやこさん(36)=本名・田村紋子=のイラスト作品展が12日から、丸井今井函館店(本町32)で始まった。療養中や仕事の一環で描いたものなど約70点を展示。たむらさんは「上達していく課程を見て楽しんでほしい」と話している。18日まで。
たむらさんは准看護師として働いていた2002年に発病し、2年余り入院生活を送った。退院後も自宅で寝たきりの状況が続いたが、症状が落ちつき始めた06年ごろから、もともと好きだった絵やイラストを描き始め、生きる糧とした。
11年には漫画に挑戦。自身の闘病体験をコミカルに描いたエッセー漫画「ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!」が15年に漫画雑誌「モーニング」に連載されたほか、今年4月には単行本も発行された。
絵を始めたころは病気の後遺症で手足が自由に動かなかったため、母久子さん(65)に指先に絵の具をつけてもらって描いていたという。初めての完成作品は1日かけて描いた金魚で、会場にはその原画を複写拡大して展示している。
他にも、竜や猫、猿、羊など色彩豊かに描いたイラストが並び、来年発行の年賀状のイラスト素材として採用された原画や、ボールペンだけで精密に仕上げた初期の作品も展示されている。
初日は写真撮影会が開かれ、たむらさんの知人やファンらが来場した。「昔の作品を見ると懐かしさを感じます。このような機会をいただきありがたい」とたむらさん。現在、次回作の執筆に取り組んでおり「漫画の執筆が優先になりますが、イラストの依頼にもできる限り応じていきたい」と話す。
16日正午からは、たむらさんのサイン会が開かれる。(鈴木 潤)