東京のIT関連会社「ブレーン」元松前支店長の男性から現金100万円を受け、同社の企業誘致の便宜を図ろうとしたとして事前収賄の罪に問われた、前福島町長、佐藤卓也被告(54)=福島町福島=の判決公判が28日、函館地裁であり、佐藤卓生裁判長は懲役1年6カ月、執行猶予5年、追徴金100万円(求刑・懲役1年6カ月、追徴金100万円)を言い渡した。
判決理由で佐藤裁判長は「町長が町政に関する広範な職務権限を有し、町政を統括する立場であることを十分理解しながら、請託を受けて賄賂の供与を受けている。町長就任後、役場の関係職員らに条例改正案の作成を指示するなど、企業誘致に向けての具体的な行動にも出ている」とした。
その上で「被告人は不合理な弁解をし、反省の態度は見受けられない。町政の混乱も招き、被告人の責任は決して軽いものではない」とした一方、「町議と町長も務め、町政に一定程度貢献した実績が認められ、刑期を定めるに当たって有利に考えることができる」と述べた。
判決によると、同被告は2012年8月26日投開票の町長選前の同13日、後援会事務所で元支店長から、同被告が当選した際に同社が町の各種助成を受けやすくなるようにと持ちかけられ、報酬の100万円を受け取ったとしている。
同被告の弁護人は有罪判決について「甚だ遺憾で、今後は本人と相談し決定する」とコメントを発表した。
元支店長は1月に贈賄罪で函館地裁から懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受け、刑が確定している。