函館市文化・スポーツ振興財団(佐々木茂理事長)は9月10日、市民会館で、仙台フィルハーモニー管弦楽団の函館公演を開催する。指揮者に京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージックアドバイザーの広上淳一氏を迎える。ソリストを務める函館出身のピアニスト岡田奏さん(26)はラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第2番を披露する。同楽団は北海道初上陸で、道新幹線開業で身近になった東北と函館を音楽の力で結びつける。
東北各地で活動するプロオーケストラの仙台フィルは1973年創設。2011年3月11日の東日本大震災では、わずか2週間後に演奏を再開。「音楽の力による復興センター・東北」の活動につながり、各地の避難所や仮設住宅などを訪れて、被災市民の心を支え続けている。
岡田さんは、現在はヨーロッパと日本を拠点に活動し、若手最注目の演奏家として今年も国内外のコンサートに出演する。函館では、4月30日に市芸術ホールでの演奏会に出演したばかりで、岡田さんは「大好きな函館で演奏できる幸せを毎回感じている」と話す。
昨年5月には、ベルギー・ブリュッセルで行われた世界最高峰のコンクールに数えられるエリザベート王妃国際音楽コンクールに出場し、12人のファイナリストに選ばれた。与えられた未発表の課題曲と自ら選んだ演奏曲を仕上げるため、外部との連絡や通信手段が遮断された場所で決勝直前の1週間を過ごした後に2000人が待つホールに上がった。この時に演奏した曲がラフマニノフで、「1カ月間のコンクールの最後に弾いた曲で非常に思い入れがある」とする。
岡田さんは「東北と北海道をつなげられるようなイベントにしたい。クラシックは敷居が高いと思われるかもしれないが、身近なものとして心を癒やされたりするような、音楽の力を感じていただければ」と話している。
公演では、チャイコフスキー作曲「交響曲第5番」などを演奏予定。全席指定。チケットの一般発売は今月13日から。S席6000円、A席5000円、B席4000円。市民会館、市芸術ホール、松柏堂プレイガイドなどで取り扱い。問い合わせは同会館(0138・57・3111)へ。(今井正一)