函館五稜郭病院(中田智明院長)は、患者を搬送する際に医師や救急救命士を乗せる「ドクターカー」を導入し、6月3日に運行を開始する。道南での導入は初めて。患者搬送のほかに、災害時は同病院の災害派遣医療チーム(DMAT)の車両として被災地に向かう。将来的には事故現場などに急行し、その場で処置もする計画だ。
ドクターカーには医師が同乗することから、一般的な救急車以上の資機材を搭載し、高度な医療処置ができる。道南では初となる電動ストレッチャーもあり、患者や搬送する救急救命士らの負担軽減につなげる。
当面は、地域のクリニックから患者を紹介された際、重症度、緊急度が高い患者を対象に迎えに行く「迎え搬送」と、同病院から他の病院に搬送する「転院搬送」で出動する。1回の出動に医師1人、救急救命士2~3人が乗り、患者の容態が急変した場合、医師がその場で対処することも可能だ。旧市内を対象に運用するが、徐々に拡大する方針。
今後は出動要請があれば、多数の傷病者が出た事故現場などに向かい、その場で高度な医療処置もする予定で、市消防本部と連携体制について協議しているという。災害時には同病院のDMATの専用車両として活用する。「DMATカーは被災地で強みを発揮する」(同病院)。
同病院で28日、運行開始式が開かれ、ドクターカーがお披露目された。江浜由松救急科長は「地域のためになるように活動していきたい」とあいさつ。中田院長は「ドクターカーの導入でより迅速な手当てや救命が可能になる。今後はドクターヘリの業務を補完するような場面もでてくる。そのためにも経験を積みたい」と語った。(松宮一郎)