顔の「肌荒れ」とニキビは違います
「顔が肌荒れです」と訴えて来院する若い方が多くいらっしゃいます。私の概念では「肌荒れ」というと、皮膚が赤くなり、ガサガサしたりざらざらすることだと思っていました。しかし、実際に診療するとそれは「ニキビ」なのです。いつから「ニキビ」を「肌荒れ」と表現するようになったのかは不明ですが、「ニキビ」は特に思春期からよく見られる疾患で、簡単に言うと、毛穴に皮脂の溜まったものに細菌が加わり悪さをします。「ニキビ」といってもいろいろな症状があります。黒いブツブツ、または白いブツブツ、膿が点々と見え、それが大きくなって重なり大きな塊となり、さらに膿を作ってしまうこともよくあります。また、もちろん思春期ですから性ホルモンの影響も考えられます。皮膚科医はそれを総合して考え治療にあたらなくてはいけません。
昔はただ抗菌剤の外用薬か内服薬(効果には原因となる皮脂の遊離抑制もあります)、皮疹を乾燥させる外用剤の処方のみでした。最近はBPO製剤という外用薬が主流となってきています。「ニキビ」を発症させる菌の抑制、しかもピーリング作用を合わせてもっており、治療にとても役立ちます。簡単に言えば、生まれたての「ニキビ」を根こそぎ除去し、ピーリング作用で皮膚を薄く薄く優しく削り、古い角質層や老廃物を取り除き、肌の細胞を刺激し肌の再生を促します。ただ、副作用も残念ながらあります。それは皮膚の刺激感、乾燥、発赤、かゆみです。軽度の症状であれば、そのまま継続しても問題は少なく、ほとんどの患者さんは軽快します。しかし重度の症状では、BPO製剤での治療は中止してほかの治療へ転換ということもあります。ただ、1日1回、寝る前にBPO製剤を外用し、朝洗顔後に保湿剤を塗れば、大きな副作用は避けられる場合もあるようです。それぞれかかりつけ医の指導を守り、治療を継続してください。
(ハコラク 2023年2月号掲載)
略歴
昭和52年、北里大学医学部卒業、北里大学病院、自治医科大学附属病院、函館五稜郭病院勤務を経て、平成27年、アルファ皮膚科クリニックを開院。
アルファ皮膚科クリニック
函館市本通1-7-22 メディカルプレイス2F
☎0138-33-7300
■診療科目/皮膚科
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