小児の胃腸炎の上手な脱水予防
ロタウイルスやノロウイルス感染などが原因の感染性胃腸炎、特に病初期において嘔気が強いタイプは内服薬の効果が出にくいばかりか、水分補給1つとってもうまくいきません。吐いた後、すぐに水分を与えても嘔吐を繰り返すばかりです。これは炎症により本来胃腸の機能である消化する、吸収するといった事が一時的にできなくなるからです。最初の1、2時間は繰り返し嘔吐しますが、吐くものが無くなりますと強い嘔吐は止まってきます。ここで大丈夫だと思って水分を与えると、まだ胃腸の機能は戻っていないので、せっかく止まった嘔吐を繰り返すことになります。
体力によりますが無理に水分を飲ませ嘔吐を繰り返した場合より、水分を取らずに胃腸をゆっくり休ませた方が結果的に早期に水分摂取ができるようになります。発熱や下痢が無い場合では簡単に脱水には至りませんので、水分を取り始める目安としては最後の嘔吐から最低でも3時間程度経って、なおかつ顔色も戻ってきた頃からで良いでしょう。
水分は可能な限り点滴と同じような効果が期待できる経口補水液(胃腸が悪くても体に染み込む)が望ましく、最初はキャップ1杯から始めて半日程度かけて、徐々に増やしていきます。順調にいけばその頃には軽く食事を始める事ができるようになります。1、2回嘔吐して終わるような軽症タイプは特に治療を必要としませんが、頻繁な嘔吐、特に黄色い胃液を吐いているような時や嘔吐、発熱、下痢も伴っている場合は簡単に脱水に至ります。本来ならすぐに受診し点滴をするのが理想ですが、それができない場合は、嘔吐を繰り返すと分かっていても経口補水液の摂取に努める必要があります。最近はリンゴ味の経口補水液も薬局で売っていますので、必ず家に用意しておくと良いでしょう。
(ハコラク 2021年8月号掲載)
略歴
昭和62年、埼玉医科大学卒業後、東京都立清瀬小児病院、小川赤十字病院、厚生連熊谷綜合病院を経て、平成10年から14年まで函館五稜郭病院に勤務。平成15年、五稜郭ファミリークリニック小児科開院。
五稜郭ファミリークリニック小児科
函館市柏木町11-10
☎0138-31-6660
■診療科目/小児科、アレルギー科
■診療時間/月・火・木・金 8:45~12:00
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※木曜14:00~は乳児健診
水 ・ 土 8:45~12:00
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