介護保険制度と介護保険サービスの現状は?
平成12年に始まった介護保険ですが、まだまだ課題が多く「介護保険の財政難」「介護の担い手不足」などは良く耳にするかと思います。新聞やテレビなどであまり情報として知られていない課題の中には「寝たきり老人比率の高さ」ということもあります。日本は世界一の長寿国と言われていますが、寝たきり老人の数も薬の消費量も世界一なのです。
介護保険サービスは「自立支援」を要に行われる必要がありますが、介護サービス事業所が自立支援介護を行い要介護度が軽くなると、提供した対価として支払われる介護報酬の金額が減ります。利用者を元気にし「自分でできること」を増やすと事業所の収入も減ってしまうのです。
自立度を高める援助には寝たきり老人の介護をするよりも、はるかに時間と人手が必要になります。マンパワー不足の状態では時間を掛けられず「自分でやってもらうよりも介助したほうが早い」と十分な自立支援介護が行えないという悩みも、介護現場の現実ではないでしょうか。しかし、介護の受け手は必要以上のサービス量を提供されれば、いずれそれが当たり前に感じるようになり、サービス依存度は高くなる一方となります。
このような状況を問題視し市が独自に問題解決に取り組んでいるケースもあります。神奈川県川崎市では介護度の維持・改善に対してインセンティブを付与し、取り組み意識の向上・より質の高いケアの提供につなげる「健康福寿プロジェクト」を施行し成果が出ているようです。また、平成30年から所得の高い利用者の介護保険利用料が3割負担になりました。人材不足に対しては介護ロボットや外国人雇用の推進が動いています。文頭で挙げた問題の早急な解決は期待できませんが、これからも制度は変化し介護の形も変化していくことでしょう。
(ハコラク 2019年4月号掲載)
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