臥牛山5月4日・器用貧乏
子どものころ、この番組が始まると「もう日曜日は終わり」とがっかりした。夕方に始まる「笑点」だ。司会の桂歌丸さんが22日の放送をもって降板する。緑の紋付き姿が見られないのは残念▼歌丸さんの落語は1度だけ聞いたことがある。6代目三遊亭円楽さんの襲名披露で新橋演舞場へ出掛けたのだが、その口上で歌丸さんが円楽さんに掛けた言葉は「器用貧乏にならないで」▼6代目円楽としての落語を、また、円楽という落語家を責任を持って作ってほしいという願いを込めたという。円楽さんはこの日、人情話「浜野矩随(はまののりゆき)」を披露。努力する店の2代目を自身に重ね、歌丸さんの期待に応えることを感じさせた▼頭の回転が早く、器用に要領よく物事ができても、執着心が薄いとすぐに満足してしまい、自分で成長を止めてしまう。これでは大成して花を咲かすことはできない。襲名を祝う高座での歌丸さんの激励は、落語「おすわどん」より耳に残った▼笑点は歌丸さんと故三遊亭小円遊さん、そして楽太郎時代から円楽さんとの“罵倒合戦”が面白い。お互い仲が良く、中途半端な言葉の投げ合いでないことが視聴者を楽しませている。次は誰と誰が番組名物を演じるのか。(R)