臥牛山3月16日・10年後の私
昨年本で、次いで映画になった通称「ビリギャル」の話題を、ちょっとはすに眺めていた▼女子高生が塾講師と出会い、1年で偏差値を40上げて慶応大学に合格した実話を基にした。宣伝には「塾講師である著者がつづった奇跡の大逆転物語」とあったが、合格よりもその先どうするかが問題なのに、と▼道労働局によると、今年3月卒の高校生の道内求人は1月末現在、前年同期に比べ1457人増。求人倍率も1・83倍と、統計開始以来の最高値。背景には、次代を担う人材を、一般求人で十分に採用できない企業側の事情もあるとされる▼生徒はより多くの求人から進路を選べる状況にある。一方で職種によっては、高卒者の3、4割が3年以内で離職する状況が続いているという▼先日の新聞で、北海道新幹線の開業日、新函館北斗発の一番列車に乗る車掌さん(33)が入社試験で「10年後の私」という作文の課題に、「新幹線の一番列車の車掌になる」と書いていたことが紹介されていた。「夢が今かなおうとしている」とも。「10年後の私」が想像できるかどうか。進路選択のポイントになるかもしれない。筆者は考えたこともなかったことは、告白しておく。(Z)