臥牛山3月14日・組み体操
中学生時代の体育祭を思い出す。50年ほど前だが、男子の呼び物は「ピラミッド」や「タワー」といった組み体操だった。笛に合わせて一段、一段積み重ねていく…終わった後の達成感は格別だった▼四つんばいで積み重ねる「ピラミッド」は5段、肩の上に立つ「タワー」は3、4段だったと思うが、「タワー」の練習では足を滑らせて落ちたり、乗り方が悪くいびつな形になったり、骨折した生徒もいた▼なのに時代が変わっても続けられている。そこに何か理由があるのだろう。みんなの思いと力の結集を推し測れる教育材料というのも外れてはいないが、今、ここにきて是非が論じられている。というのも、けがをする生徒が多いから▼実際に、落下による骨折などの事故が全国で毎年8000件を数え、しかも頭部や体幹部のけがもあるという。この現実は判断に当たって重くのしかかる。千葉県柏市などが全面廃止を、大阪市は演目の制限を設けることを決めた▼文科省も安全指針を策定するという。教育的効果はある、かといって事故の多さも無視できない。何とも悩ましいが、組みの難度と生徒の体力がかみ合っているのかどうか。大事なのはその検証だが、見直しがあってもいい。(A)