函館市企業局交通部が交通事業経営計画に基づき、京王重機整備(東京)で昨年11月末から車体改良を施していた市電3002号車が3カ月半ぶりに駒場車庫に戻った。市電では初めてとなるLEDヘッドライトやカラーLED搭載の行き先表示器などを新規に採用。点検整備後、4月中の営業走行開始を予定している。
3002号車は1993~96年に計4両を導入した3000形の1両。導入時は青地に白のラインが入った車体で、「マリンブルー号II」の愛称でも親しまれた。
導入から20年以上が経過し、融雪剤の影響などで車体床下の腐食も目立ちはじめ、3年ごとの全般検査に合わせて大幅改良を実施。八王子市の工場で改良を終えた車両は大型トレーラーに乗せられ、駒場車庫に到着。2台のクレーン車で慎重につり上げられ、約1時間半かけて台車の上に下ろされた。
新たに導入したLEDのヘッドライトは従来のハロゲンライトより明るく、カラーLEDを採用した行き先表示器では系統番号(2、5系統)を赤、青の色別での表示を予定。内装も座席シートの張り替え、運賃表示器の液晶ディスプレー化などを施した。
改良費は約4700万円。8000形導入に用いられた車体更新の手法と比べ経費は約半分、超低床電車を新車で購入した場合との比較では約5分の1程度に抑えている。新年度は、2001号車と8001号車の2両で同様の改良を予定し、交通事業会計に約9460万円を予算計上している。
同部の廣瀬弘司施設課長は「らっくる号のような新車導入も必要だが、既存車両も改良、修繕を施して、末永く使っていきたい」としている。(今井正一)