八雲町が1日から、「ANA(全日空)のふるさと納税」に参画する。これに合わせ、函館大学(野又淳司学長)の学生6人が、町の季節ごとの特産品を使ったオリジナルの返礼品5品を開発した。全国でも例がない取り組みで、町の活性化を図るのが狙い。7月31日、同大で発表会があり、成田耕治副町長は「学生が開発した魅力ある返礼品が町のPRや納税者増につながることを期待する」と力を込める。
町は2008年に「八雲町ふるさと応援寄付金条例」を制定し、ピーク時(18年度)の寄付額は約37億円に上った。しかし、昨年度は約18億円に減少。納税者増につなげようと寄付単価が高く、金額の一部がマイルに還元される同社のふるさと納税への参画を決めた。
同大の佐藤浩史准教授が担当する地域創生プロジェクトでは、函館―札幌の中継地点で、市場性と魅力の発掘性を兼ね備える八雲町に着目。町内で魅力ある産物を作っても全国的な知名度が低い問題を抱える小規模事業者を応援し、八雲町に訪れてもらおうと、同町の産品が定期的に自宅に届く「みちはこプロジェクト」を21年に立ち上げた。
メンバーは佐藤准教授のゼミに所属する鍵怜治さん、大久保ヒカルさん、立花心さん、工藤光貴さん、清水畑彩花さん、竹内大地さん(いずれも4年)。ANAあきんど函館支店(古牧海支店長)のサポートを得て、「森岡農園さんの軟白ネギ」「クレールイトウのスイーツセット」「レストラン昴(すばる)のオリジナルハンバーグ」「噴火湾鮮魚卸龍神丸の干物セット」「八雲チーズ工房のチーズセット」の5品を開発した。
スイーツセットは町産のサツマイモで作ったパイとパウンドケーキ、干物セットは町落部地区で水揚げされたソウハチガレイとサクラガレイを使用。発送時に学生の手書きのメッセージカードを添えるほか、実際に現地に足を運んでもらえるよう、ハーベスター八雲(町浜松)など町内の飲食店で使えるチケットの同封を検討中。リーダーの鍵さん(21)は「ふるさと納税から八雲町の活性化に貢献したい」と話している。
寄付は偶数月に受け付け、奇数月に発送する。返礼品は月によって異なり、初回(9月)は干物セット。1件3万円から受け付け、各セット20~30個限定。返礼品の詳細はANAのふるさと納税専用サイト=2次元コードを参照=に掲載。1日午後3時以降、閲覧可能。(長内宏人)