2030年度末予定の北海道新幹線の札幌延伸後にJR北海道から経営分離される函館線の函館―長万部間(約148キロ)について、国土交通省と道、JR貨物、JR北海道が貨物路線として存続する方向で調整していることが、関係者への取材で分かった。北海道と本州を結ぶ輸送手段として重要な役割を果たしていると判断した。月内に開く4者協議の場で存続方針を確認する見通し。
函館―長万部間は、旅客列車と貨物列車が走っており、新幹線が通ると並行在来線はJR北から経営分離される。旅客輸送をめぐっては、道と沿線自治体が鉄路を維持するかどうか協議を続けているが、鉄路を維持すると巨額な赤字が生じるとの収支予測が出ている。しかし、函館線の鉄路を廃止した場合、北海道の農産品を移送し、道外からの生活必需品の輸送を担う物流網に大きな影響が出るため、昨年11月から4者が非公開で3回の会合を開き、鉄道貨物の在り方を協議してきた。
道などは年内にも有識者会議を設置し、貨物輸送を残す場合の課題となる費用負担の在り方や人員確保などを議論する。並行在来線の路線が貨物専用線として維持が決まれば、全国で初めて。
鈴木直道知事は、5月下旬の定例記者会見で「函館―長万部間の貨物は、北海道の農産品を移送し、道外からの生活必需品の輸送を担うなど、重要な手段。全国の鉄道貨物ネットワークを構成する上で欠かすことができない」と重要性を強調していた。(山崎大和)