昨年7月に閉店した旧イトーヨーカドー函館店(美原1)に関し、所有する不動産業の一位物産(函館市本町、村上幸義社長)が建物を活用した複合商業施設として運営し、来夏の開業を目指していることが23日までに分かった。2階は幅広い世代が集う屋内広場をメインに計画し、早ければ来年7月に先行して開業。全館の営業開始は来秋以降となる見込みだ。
旧イトーヨーカドー函館店は地上2階、地下1階建てで売り場面積は約1万3000平方メートル。2階フロアは「インクルーシブ」を掲げ、障害の有無にかかわらず、子どもたちが走り回って遊べる屋内広場(約1600平方メートル)を構える。既存の柱に設置するバスケットゴールは、車いす利用や子どもの学年に応じたさまざまな高さを用意。車いす利用でもより高いゴールを目指せるようにし、成長の機会につなげる。また、フロアの外周には車いすでも回れる回廊型のウオーキングコース(275メートル)を設けるほか、ボールプールや滑り台といった遊具も設置予定。
広場のほか、LEDによる植物工場も整備し、レタスやイチゴなどを水耕栽培。クッキングスクールでは収穫物を使った料理教室などイベントを開き、食育につなげる。
このほか、2階では学童保育クラブの開設や、学生などが若いアイデアを起業やビジネスに生かし実践できるブースも計画。村上社長(49)は「多世代が集い、誰一人取り残さない施設を目指したい。若い世代の居場所づくりにも取り組みたい」と話している。
2階はクリニックと調剤薬局も入居。屋上は人工芝の公園(約1800平方メートル)として整備し、2階フロアの先行オープンと共に開放予定。なお、1階と地下1階はファミリーレストランや食料品スーパー、衣料品店などのテナントが入居予定で、来秋以降の開業を見込んでいる。(飯尾遼太)