函館市は今年度、働く世代をターゲットにした糖尿病対策に本腰を入れる。新規事業の「ウェルネスナイトセミナー」を23日に開講。12月まで全6回開き、体の状態を把握する測定や管理栄養士による食の講話、エクササイズの実践などを通じ、糖尿病をはじめとする生活習慣病予防と市民の健康づくりにつなげる狙いだ。
市内の糖尿病患者の状況(2020年度)をみると、1000人あたりの患者数(有病率)は全道より低い一方、糖尿病で治療をしている人1人あたりの医療費、入院医療費はいずれも35~74歳のすべての年代で全道を上回っており、軽症患者が早期治療に至らず、重症化してから発見されていることが推測されている。
こうした現状を踏まえ、市は若年のうちから糖尿病予防など健康づくりへの意識を高めてもらおうと、働く世代を対象に仕事終わりの時間に合わせセミナーを企画。おおむね18~64歳の市民を対象に参加を受け付け、30~60代の男女28人から申し込みがあった。
セミナーは市と市医師会看護・リハビリテーション学院、函館高専の共催。初回の23日は同学院で身体測定とオリエンテーションを実施。身長や体重、血圧などを測ったほか、立ち座りの動作や歩行の姿勢などをテスト。測定はセミナー最終回でも実施し、講座による変化や数値の改善を把握する。
オリエンテーションではセミナーの概要や目的などを説明し、同学院の作業療法学科長、千葉馨専任教員がスマートフォンなどICTを活用した健康づくりを推奨。市の健康アプリ「Hakobit(ハコビット)」で日々の歩数集計や体重、血圧を記録する習慣をつけることを促した。
このほか、セミナーでの測定データと参加者アンケートの結果を活用し、市や同学院、函館高専、函館協会病院、公立はこだて未来大による共同研究チームが事業の効果を検証し、今後の健康づくりの取り組みに生かす。市健康増進課の前田由季課長は「若いうちからの糖尿病予防など健康意識の浸透に向けた試行的な取り組みとして進めていきたい」としている。(飯尾遼太)