今季の道南スルメイカ漁が始まり、函館市の函館漁港で5日、初水揚げがあった。市水産物地方卸売市場で初競りにかけられたいけすイカは昨年(860キロ)を大幅に下回る113キロに激減。1隻あたりの漁獲数量は過去最低クラスの厳しい出だしとなった。最高価格1キロ8000円(昨年1キロ3800円)は、ご祝儀相場と数量の大幅減で例年以上の高値が付いた。
1日の解禁初日は休漁日で、その後は海上のしけにより、2日連続で漁を見合わせ、4日に函館から小型イカ釣り漁船11隻が出漁した。1隻あたりの数量が少なく、このうち水揚げがあったのは8隻で、6隻が市場にいけすイカを出荷した。
多くの漁船は午前0~1時ごろに帰港し、同5時すぎには、漁師が船内のいけすからタモ網でイカをすくい上げて箱に移す作業にあたり、イカは体を伸び縮みさせて生きの良さを見せた。この日のイカ全体の水揚げは約200キロで昨年の1トンを大きく下回った。
漁師の田原正明さん(64)は「イカが全然いない。昨年よりさらに厳しい年になるのではないか。魚体サイズは小ぶり。燃料が高いので(今後の出漁は)無理できない」と厳しい表情を浮かべた。
函館魚市場によると、胴長は約12センチ、重さは40グラム前後で小ぶり。同社の美ノ谷貴宏取締役営業部長(54)は「数量は例年に比べ激減し、年々イカの成長も遅くなっている。観光客は新鮮なイカを期待して函館を訪れており、夏から秋にかけて増えることを祈るしかない」とした。
イカは早速、函館の鮮魚店やスーパーの店頭に並び、市民が初物を買い求めた。はこだて自由市場(新川町)のイカ専門店「富田鮮魚店」は、いけすイカ23キロを仕入れた。富田和子社長(74)は「量が少なく、価格が高くなってしまうので、イカ離れが進まないか心配。イカがたくさん捕れて買いやすい価格になってくれれば。今後の漁に期待したい」と話した。
漁期は来年1月末まで。(飯尾遼太、山崎大和)