函館市は、市内に点在する観光名所を紹介する観光説明板について、多言語化を進める方針を決めた。インバウンド(訪日外国人)の増加によって観光客の利便性を高めるのが狙いで、2019年度にまとめて整備する。市が指定を受けた国土交通省の「景観まちづくり刷新モデル地区」(17~19年度)の補助事業を活用する。
説明板は観光名所に市が設置しており、全部で83基ある。このうち、17年度までに多言語化したのは函館山展望台に2基、外国人墓地、函館中華山荘、函館中華会館、旧ロシア領事館に各1基の計6基にとどまる。例えば、中華会館は日本語、英語、中国語の3カ国語に対応している。
残る77基は日本語と英語の表記になっており、市は17年度当初予算に経費を計上して整備する予定だったが、景観まちづくり刷新モデル地区に選ばれたことから、整備を19年度に先送りした。
市観光部によると、多言語化は日本語と英語を除く韓国語、中国語(繁体字、簡体字)、ロシア語の最大4言語を指し、現行の板面を更新して対応。全ての言語を掲載するのは難しいため、板面にQRコードを掲示してリンク先のページで日本語、英語以外の4言語を確認できるシステムを構築する。
多言語化の目標は40基で、国が2分の1を手当てすることが決まっており、市は19年度の予算編成に向けて予算の要求内容を精査中。同部は「インバウンドの入り込み状況を見ながら、どういった言語が必要か検討している」という。
市を訪れるインバウンドが増加し、17年度は過去最多の50万人を超えた。13年度が28万人だったことを考えると、この4年間で急増している。市は「インバウンド100万人時代の到来」も視野に施策を進めており、同部は「インバウンド急増を意識した、観光環境の整備に力を入れたい」としている。(山崎大和)