函館高専公開講座「まちあるきガイド育成連続講座」の第1回が29日、西部地区一円で行われた。奥平理教授が、各所に残る石垣や坂道の成り立ちなどガイドブックにはない〝ディープな函館〟の眺め方を案内した。
市との共催事業で、7月までに計4回開催する講座。奥平教授は昨年NHKで放映された人気番組「ブラタモリ」でタモリさんのガイド役を務め、番組ロケ地を参加者と歩いた。
西部地区の坂道は海岸段丘によるものだとして、その地形の特徴を説明。坂道のため、石垣が築かれた場所が多いのも特徴で、函館西高やハリストス正教会などの教会群の前、南部藩陣屋跡など、つくられた時期や組み方の違いを解説した。旧相馬邸の威風を放つ石垣は豪商の名残とし、参加者からも驚きの声が上がった。
市電に乗って訪れた谷地頭で、奥平教授は「ここの海抜は1メートルしかない。四方が坂で、すり鉢の底のような場所。かつては沼地で、段丘を切り通した残土で埋め立てた場所」と説明。火山の爆発によってできた可能性があるとした。
このほか、函館型三方式消火栓の製作時期の見分け方、住吉町の海岸で眺めることのできる段丘など日常風景に残る函館の特徴を紹介。函館公園内も散策し、観覧車や洋風噴水といった「国内最古」にも触れた。
医療法人社団理事長の深瀬寛也さん(42)は「坂がなぜ坂になったのか、段丘とは何かといったような、地形にも歴史があることが分かり勉強になりました」と話していた。
次回「十字街コース」は5月28日に行われ、参加申し込みは同9日から受け付ける。問い合わせは同高専(☎0138・59・6345)へ。(今井正一)