【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手取り、大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めた訴訟の第6回口頭弁論が6日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた市側は「基準地震動の評価に不備がある」などとして大間原発の耐震設計の問題点を指摘するとともに、使用済み燃料プールの危険性も挙げ、改めて建設差し止めを訴えた
この日の弁論では、原告弁護団の只野靖弁護士が耐震設計の問題点に関して約15分間のプレゼンテーションを実施した
電源開発は昨年12月、原子力規制委員会に対して新規制基準への適合審査を申請した際、基準地震動を従来の450ガル(加速度の単位)から650ガルに引き上げているこれについて、同弁護士は「電源開発は44個の地震で107の観測記録を取ったが、いずれも平均値がベースになっているすでに起きた地震では最大値を取るべきだ」と述べ、同社が地震の揺れを過小評価していると批判した
さらに同弁護士は、同原発の北側海域に巨大な海底活断層の存在が指摘されているにもかかわらず、耐震設計上全く考慮されていないと指摘した
原告弁護団はこのほか、準備書面を通じて大間原発における使用済み核燃料プールの危険性を指摘「同原発では使用済み核燃料プールが格納容器の外にあり、建屋にしか守られていないことが何よりも危険」と強調した上で「外部からの衝撃に弱く、大地震や大型の竜巻など自然災害に対する備えが不十分過酷事故の発生を防ぐための適切な措置が講じられていない」と結論付けたまた、裁判の最初の争点となった原告適格(=市が訴える資格)に関し、新たに専修大学法学部の白藤博行教授が意見書を提出「市には防災計画を作る必要があり、もし大間原発がなければ余計な手間ひまをかける必要がない計画を作るためのコストの損失が生じ、公の施設の管理運営に支障が生じる」などとして、市に原告適格があるとした
一方、同社の原子炉設置許可変更申請を受けて、市が訴えの内容を一部変更したことに対し、国は準備書面を通じて訴えの却下を求めた「規制委の審査が進んでいない状況からすれば、現時点で設置許可処分がされる蓋然性(=実現するか否かの確実性の度合い)は認められない」などと主張している
次回の口頭弁論は来年1月19日午後3時から、同地裁で開かれる(千葉卓陽)