総務省が発表した今年1月1日時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査で、道南18市町の日本人人口は42万1955人と前年から7216人減少した。特に函館市は前年比3747人減の25万4146人で減少数の大きさは全国の市で9番目となり、道内最大だった。今年は新型コロナウイルスの影響で、市が人口減対策の一環として取り組む出会いの場を創出する事業は実施が見通せず、減少幅を緩やかにする次の一手を模索している。(山田大輔)
道南で最も減少率が大きかったのは長万部町で4・4%減。65歳以上の割合は松前町が49・8%で最も高く、函館市は35・3%だった。
函館市の自然動態は出生数が1321人に対し、死亡数は4045人で2724人の自然減。前年の2355人減からマイナス幅が拡大した。転出数が転入数を上回る社会減は1023人で、1324人だった前年と比べると、減少幅は縮小した。
出生数が落ち込む背景には、子どもを産み育てる世代の減少や未婚化、晩婚化があるとして、市は18年度から結婚希望の若者向けに出会いの場を生み出すイベント「はこだてシェア・タイム」を展開。参加者からも好評を得ていたが、今年は新型コロナの感染流行を受け、市が実施の是非を検討している。
一方、市は今年度、企業の従業員が旅先で休暇を楽しみながら仕事に取り組む「ワーケーション」の推進へ本格的に着手した。市外の企業に対し、観光資源とともに業務に必要な環境が整っていることをアピールする計画。将来的な企業誘致で雇用を生み出し、社会減対策としたい考えだ。
市計画推進課は「子育て支援に加え、ワーケーションの推進を通じて企業誘致に結び付くような事業を展開し、若者の雇用の場を確保したい」としている。