人工ふ化させたスルメイカ幼生を世界最長となる10日間生存させることに、北大大学院水産科学研究院の桜井泰憲特任教授(海洋生態学)らの研究グループが成功したふ化幼生は従来、体内にある卵黄を栄養源に4~5日生きるとされていたそれ以上生きるには外からの栄養摂取が必要となり、海中の有機物「マリンスノー」を最初の餌として取り込んでいる可能性が高いことも分かった
スルメイカは、直径80センチほどの透明な卵塊(直径1ミリ弱の卵が約20万個)を産む研究グループは昨年9~10月にかけて、函館市国際水産・海洋総合研究センターの大型実験水槽(225トン)で産卵実験を行った
南茅部地区で捕れたスルメイカからふ化した幼生を水槽内で飼育自然海水を取り入れ、マリンスノーが多い状態を再現したふ化後に胴長1ミリだった幼生は10日で1・5ミリに成長卵黄吸収後の生存については、これまでもマリンスノーが餌であると推定されていたが「今回の成果が初めての証明になる」(桜井特任教授)という
桜井特任教授は1990年代に世界で初めてスルメイカの人工授精とふ化を成功させるなど、イカ研究の第一人者今回はインドからの留学生パンディ・プニータさんが学位論文の研究として取り組んだ桜井特任教授は「幼生が普通の餌を食べられるまでのプロセスを実験的に検証したい」と、今後の研究に意欲を見せている(山崎大和)