道南の公立高校で1日、今年度の卒業式が挙行された。このうち、3月末で閉校する函館稜北高校(田邊禎明校長)では36期生114人が同校最後の卒業生として思い出深い学びやを巣立った。
新型コロナウイルス感染対策として同校では保護者は生徒1人につき2人までとするなど出席者を制限。校内にはアルコール消毒液を設置し、式の時間短縮も図った。
式では保護者や教職員が拍手で迎える中、卒業生が入場。名前を読み上げられると一人一人が登壇し、田邊校長から卒業証書を受け取った。36期卒業生を合わせ、同校の卒業生は9011人となった。
田邊校長は式辞で「卒業おめでとう。コロナの影響もある中、逆境をプラスに変え、どんな状況でも自分を見失わずに前を向いている生徒の姿は教職員の大きなエネルギーとなった」と卒業生の頑張りをたたえ、「高校生活を振り返るとき、ぜひ校舎にも足を運んでほしい。学校は変わってもいつまでもここが稜北高校」と呼び掛けた。
生徒を代表してあいさつした西村拓人生徒会長は「高校生活はさまざまなことがあったが、コロナ禍でも、後輩がいなくても何気ない毎日を過ごしたことが一番の思い出。学校はなくなっても、ともに過ごした仲間との経験は失われることはない。人とのつながりを学べ、稜北に入学して良かった」と涙ながらに語った。
最後の校歌斉唱では生徒や教職員、同窓生約40人が歌う様子を収めた動画を上映。閉校への思いを込めた歌声が響く中、38年の歴史に幕を下ろした。(飯尾遼太)