がん治療における放射線の役割 ~放射線治療を支える専門職~
皆さんは放射線に対してどんなイメージをお持ちでしょうか?私は診療放射線技師になるまで、放射線といえば核兵器に代表されるとても危険なものと認識していました。その要因として、私が義務教育を受けていた時代は放射線を正しく学習する機会が少なく、自分に届く情報が扇情的なものに限られていたためだと思います。近年では原子力発電所の事故などを受けて、人々の放射線に対する関心が高くなりました。それが原因かどうか分かりませんが、数年前から義務教育で放射線を学習する機会が設けられています。しかし、正しい知識を得たとしても放射線は人体にとって有害であることに変わりありません(少量の放射線被ばくは健康増進に役立つという説もあります)。
放射線治療はレントゲン写真の10万倍以上の強い放射線を使います。強い放射線はDNAを破壊する作用があります。そして、細胞分裂の盛んな細胞(がん細胞など)は放射線の作用が大きくなります。放射線は正常細胞にもがん細胞にもダメージを与えますが、障害からの回復力が正常細胞のほうが強いため、正常細胞が傷つかない量を複数回照射します。複数回に分けて照射する理由は〝切らずに治す〟放射線治療が最終的にがん細胞を消滅させ、正常細胞が無傷で生き残る事を目標にしているからです。
私たち診療放射線技師は医師以外で放射線を人体に照射できる唯一の職種として責任を持って治療に当たっています。また、私たちは放射線治療に使用する装置とそこから放出される放射線の管理を行う仕事もしています。こういった業務を高いレベルで行えるように、放射線関連学会では放射線治療を専門に行う技師に認定を行っています。私たちは最新の知識を勉強し実践する事で、安全な放射線治療を提供できるように心掛けています。
(ハコラク 2020年2月号掲載)
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