函館五稜郭病院(中田智明病院長)は、室内を消毒する紫外線照射装置や空気感染隔離ユニット、一体型小型電動ファン付き呼吸器防護具を導入した。新型コロナウイルス感染症に備えるとともに他の疾患などにも活用し、感染を抑制するための対策を強化している。
世界保健機関(WHO)が3月、新型コロナウイルスに関してパンデミック(世界的流行)を宣言したことに合わせて対応した。
室内を殺菌するUV―C紫外線照射システムは道内でも珍しいといい、無人の室内で5分間照射することで約2・5メートル四方の殺菌ができる。万が一、感染症患者のベッドが満床になった場合、菌が生存する8時間以上を待たなくても照射することで、適切な環境消毒により次の患者がすぐに入院できるようになる。
同院の感染情報管理室副室長・感染管理認定看護師の山根のぞみさんは「清掃をした後にターミナルクリーニングとして運用することで、さらに安全な環境を提供できる」と話している。
このほか、ウイルスを防御する呼吸器防護具は再利用可能で、内蔵しているフィルターから新鮮な空気を届ける呼吸補助機能がある。発熱外来や感染検体を採取する医師や看護師が使用する。
簡易的に陰圧室が作れる空気感染隔離ユニットは20分ほどで設営が可能。病床が足りなくなった時など、感染因子を病室内に持ち込まないように陰圧を保つ。感染症専門医・感染情報管理室室長の加地正英医師は「これから転勤や連休などで感染者が出る可能性は十分に考えられるが、対応できるよう万全の態勢を整えている」と話している。(木村京子)