北海道新幹線開業を記念し、昨年誕生した函館、弘前両市の友好の酒「巴桜(ともえざくら)」の2017新酒の初搾りが、醸造元・六花酒造(弘前、北村裕志社長)であった。2年目となる今年は、全ての工程が昨年より1カ月程度早く進んでおり、4月下旬にも道南の酒店を中心に発売される。
コメは、函館市美原3の立蔵義春さん(61)が七飯町中野の水田30アールで作った酒造好適米「吟風(ぎんぷう)」約1500キロを使用。水は青森県白神山系地下伏流水を使い、商品名を函館港の形状「巴」と、弘前が日本一のサクラの名所であることから名付けた。昨年は1300本(720ミリリットル入り)を6月に道南、青森で販売を始め、12月末で全量出荷終了となった。
今年の仕込みは1月5日にスタート、初搾り(もろみを清酒と酒かすに分ける作業)は2月23日に行われた。作業はもろみを綿袋に入れてつるし、自然に滴る原酒を集める「袋吊り」の方法。この日は北村社長や立蔵さん、函館市農林水産部職員3人、弘前市職員2人が立ち会い、試飲した。搾った原酒は「おり引き」「火入れ」などの工程を経て蔵でじっくり寝かせ、初年度と同数の1300本の新酒となる。アルコール度数は約16%。
また、この日搾った原酒の一部は火入れなどの工程をせず「搾り立て生原酒」として3月初旬、丸井今井函館店や棒二森屋、酒店の一部で限定発売(720ミリリットル、3240円)される。
函館市の桜井貴之市場・販路担当課長は「1年目より味が濃く、フルーティーな香りが高い」と太鼓判を押す。
函館と弘前両市は、両商工会議所でつくる「津軽海峡観光クラスター会議」を通じ交流を深めており、13年末に工藤寿樹市長と北村社長との間で酒造りのアイデアが芽生え、実現した。(山崎大和)