「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」に続く、函館出身の作家佐藤泰志の小説を映画化する函館三部作の最終章「オーバー・フェンス」のキャストが10日までに発表された主演はオダギリジョーさん(39)、ヒロインは蒼井優さん(29)で、松田翔太さん(29)も出演する現在、編集作業に入っており、完成は冬ごろ、公開は来年晩夏となる予定だ
前2作に続き、市民映画館シネマアイリス(本町22)の菅原和博代表が製作・企画を手掛けた撮影は6月24日から函館公園など函館市内5カ所を中心に行われ、7月17日にクランクアップしているテアトル新宿ほか全国で順次公開される
函館の短い新緑の季節を舞台に「家族、夫婦、共にいきる」という普遍的なテーマに向き合った大人のラブストーリーオダギリさんは、元サラリーマンの職業訓練校生・白岩義男を演じるヒロインの田村聡(さとし)役の蒼井さんは、風変わりなホステス「鳥になりたいと願う女」を熱演白岩に興味をもつ職業訓練校生の代島和久を、松田さんに扮する
監督は「天然コケッコー」「味園ユニバース」などでメガホンをとってきた山下敦弘さん(38)原作は、佐藤自身が小説を諦めかけ、函館の職業訓練校に通った日々の経験を基に執筆し、1985年に自身5回目で最後の芥川賞候補作品となった前作「そこのみにて光輝く」は第38回モントリオール世界映画祭での最優秀監督賞受賞ほか、数多くの映画賞を獲得している(半澤孝平)
◆オダギリジョーさん
函館での1カ月は合宿のような状況だったので、この作品の事だけに集中できたし、みんなで過ごす時間は劇中の関係性を見事に反映したり、より深めたり、貴重な時間でした信頼できるスタッフとキャストと、共にこの作品に関われて幸せでした愚作になるはずがないと確信しています
◆蒼井優さん
長い間、この作品に出会うことを待ち続けていたような気が今していますそれくらい、この現場の過酷さも喜びも想像を絶するものでした大切な仲間に出逢えたことに心の底の底から感謝します
◆松田翔太さん
新鮮で真剣な山下組と共に函館で過ごした時間が、すでにかけがえのない時間となり、撮影を思い返すたび、幸せになりますこのキャストとスタッフで撮影した本作品を、僕も一緒に期待して待ちたいと思います