【森、札幌】16日未明に森町のJR函館線森―石倉駅間で発生した貨物列車の脱線事故で、JR北海道は18日、復旧作業が順調に進んだとして、19日始発から森―長万部間の運転を再開する見込みと発表した。併せて同日記者会見を開き、脱線が発生したと推定される鷲ノ木道路踏切の下り線右レールに著しい腐食があり、脱線の原因になった可能性があるとの見解を示した。
事故は16日午前1時40分ごろ、森―石倉駅間を走行中のJR貨物の貨物列車(機関車含む21両)が鷲ノ木道路踏切付近で5両が脱線。けが人はいなかった。
18日も函館―札幌間の特急22本を含む34本が運休し、特急北斗は札幌―長万部間で4往復、札幌―洞爺間で1往復を運転。札幌―長万部間は代行バス4往復を運転した。脱線現場では枕木の交換作業が順調に進み、安全を確認した上で19日から運転を再開する見込み。同社によると、3日間で延べ約1万9500人に影響が出たとしている。
同社は会見で脱線事故を謝罪。レールの検査は年1回の目視に加え、探傷車で傷の有無を確認し、傷があった場合には超音波探傷車で傷や腐食の状態を検査するが、同踏切内で今年9月に行った検査では超音波エコー表示に途切れが発生していた。敷板をはがしてレールの状況を確認する社内規則はなく、目視での確認が車輪と接触するレール頭部に限定され、頭部と地面をつなぐ「腹部」の腐食状況を把握していなかったとした。腹部は通常幅15ミリのところ、残っている部分で3ミリ程度まで減っていたという。
事故を受け、函館線鹿部―長万部間で海沿いにあり、30年以上経年したレールが敷かれる7踏切10カ所で18日までに超音波探傷車での点検を実施。うち3踏切5カ所で敷板を外して目視を行い、安全を確認したとしている。同社は今後実施範囲を拡大するとともに、国土交通省運輸安全委員会による原因究明に引き続き協力するとしている。(千葉卓陽、鳥越裕子)



