札幌市内で２２年間、クラフトギャラリーを運営してきた舟見優子さん（６５）＝北のクラフトプロジェクトいぷしろん代表＝が７日、新たな展示ギャラリー「そらのＡｇｅｒ（あげる）」をオールドスタイルホテル函館五稜郭（本町２９）の５階にオープンする。３日に函館に移住したばかりで、新たなスタートに「感性が磨かれるような美しいものと出合う場になれば」と話している。
　舟見さんは同ホテルの調度品や時をへた雰囲気が気に入り、函館滞在時の定宿としてきた。昨年末に５階のホールを貸し出すことを知り、「函館での仕事を増やしたいと考えていた。好きな街に住んで仕事ができたら最高に幸せ」と移住を決めた。Ａｇｅｒは札幌では「クラフトの畑」だったが、ホールの窓から見える空に気持ちよさを感じ「そらの－」と名付けた。
　舟見さんが展示、紹介するのは、品質の良いものを長く大切に使ってもらいたいとの願いから全国のさまざまな工芸作家が手掛けた作品を選ぶ。「早さや便利さ、安さではなく、美しいと思うものと暮らす提案をしたい。『これ好き』『すごくきれい』と思えるものと出合えたら楽しいでしょう」と話す。
　７日のオープンに合わせて、函館で初めての企画展として「アトリエ・Ｋｉｎａｍｉの夏展　日傘と扇子と着物」を開催し、久保紀波さん（６４）＝東京都東村山市＝が手掛けた作品を紹介する。扇子は国産の竹を使い、京都の職人が加工したもの。扇面に葉が描かれ、見た目にも涼しげな絹製の作品などが並ぶ。小ぶりな日傘は柄がサクラ、軸がカシの木で、持ったときに腕が上がり過ぎない長さで作られている。草木染めの帯締めなども並ぶ。久保さんは「自分がほしいと思うものを作ってきました」と話している。
　１６日まで、午前１０時―午後６時（最終日は同５時まで）。久保さんは９日まで在廊する。（今井正一）