函館市文化・スポーツ振興財団(佐々木茂理事長)は4日、市文学館で市民映画館シネマアイリス(本町22)の菅原和博館長を招いたトークイベント「映画『オーバー・フェンス』と佐藤泰志」を行った。菅原さんは、函館発の映画3部作の企画に携わった経緯や映画の魅力について語るとともに、次回作へ向けた意欲を示した。
本年度第5回「文学の夕べ」として実施。同館スタッフの小野隆史さんを聞き手に、インタビュー形式で行われた。
菅原さんは市民映画館を五稜郭地区に作る構想が生まれた経緯から語り「市民からの募金約700万円などをもとに1996年に開館したが、当初の予想を上回る自動車1台分くらいのお金が乗っかってしまい、当時は苦労した」と語った。
同館を救ったのは映画「タイタニック」のヒットで、現在ヒット中の映画「君の名は。」の話題にも触れながら「草の根で評判を呼び、リピーターが人を連れてきてくれ、新しいリピーターになってくれた」と目を細めた。
佐藤の作品を原作にした3作品「海炭市叙景」、「そこのみにて光輝く」、「オーバー・フェンス」の予告編を鑑賞後、各映画の製作経緯などに触れ「佐藤泰志の小説を多くの人に知ってもらうことが第一の目標だった。結果として市民の皆さんの力で作った映画が、佐藤文学復活のきっかけになったなら本望だ」と話していた。
「函館3部作」「最終章」と表現されることについては「今のチームで企画制作するという意味では最後と言えるかもしれない」と話した一方、「道南の土地柄や風景には尽きない魅力がある。協力を得ながら映画を通じて道南の魅力を引き続き描いていけたら」と、次回作に意欲を示した。(半澤孝平)