神経ブロックって痛いの?
腰の痛みに悩んで整形外科に行こうとして、周りから「神経ブロックって、痛いよ」と、言われ怖くなって行かずに我慢した。そんな話を皆さん一度は聞いた事があると思います。この話の中に出てくる「神経ブロック」という言葉は間違っており、正確には「神経根ブロック」と言います。これは非常に適応が狭い注射で、ぎっくり腰、腰痛、肩こりではほぼ使わない注射ですのでご安心下さい。ぎっくり腰、筋収縮性頭痛、腰痛などの際に治療として行う注射は「神経ブロック」と言い、「神経根ブロック」とは全くの別物と考えてください。この「根」という漢字が付かないブロック注射は、神経に直接刺し込むわけではなく、神経の周りの軟部組織に注射をして包み込むことでブロック効果を生じさせるものです。
一方で痛いと評判の「神経根ブロック」の適応は限られており、腰椎すべり症、椎間板ヘルニアといった中でも神経圧迫刺激などにより神経への影響が強く、「黙っていても足や手にジンジンビリビリと強い痛みが走って、とても動かせない」程まで悪化した時に適応する注射です。「この注射が効かなければ手術も視野に、さらに踏み込んだ検査が必要かな」という時に、考えながら治療かつ診断的な手段として使います。この注射は脊髄神経の本幹から分岐した神経枝の途中の太い部分に、直に刺すもので、この刺し込む度合いにより、肘を机の角にぶつけた時のような「電撃(放散)痛」が大なり小なりあります。
なお治療にも使用する各種「神経ブロック」ですが、使用薬剤の濃度を濃くすることで、手術の際の鎮痛手段としても大いに活躍しております。現在は超音波画像診断機を必要時に使うことで、より正確に神経との距離感を確認することが可能になってきています。まず、痛みでお悩みの際は、気軽に近くの麻酔科、整形外科にご相談ください。
(ハコラク 2021年4月号掲載)
略歴
平成18年、岩手医科大学医学部卒業。北海道大学付属病院、JA厚生連帯広厚生病院、旭川医科大学附属病院(麻酔・蘇生学講座)、JA厚生連遠軽厚生病院、函館五稜郭病院勤務を経て、平成26年8月より函館おおむら整形外科病院麻酔科に勤務。令和元年10月より院長に就任。
函館おおむら整形外科病院
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