クルーズ客船を活用した観光振興策を考える「ザ・シンポジウムみなとin函館~マチナカにクルーズ船がやってくる~」が21日、函館アリーナで開かれた。パネルディスカッションでは、工藤寿樹市長ら6人が登壇し、今後整備が進められる若松埠頭(ふとう)に大型客船が停泊した際の受け入れ態勢や寄港回数増加に向けた取り組みなどについて意見を交わした。
北海道開発局などでつくる実行委の主催。約300人が参加した。
討論で、クルーズライターの上田寿美子さんは、訪日クルーズ船の流行として、寄港地の市場で調達した食材を使い、船で料理を振る舞う例を紹介。「若松埠頭から朝市は非常に近く、他の地域と差別化を図る要素になる」と述べた。
また、函館に降り立つ乗船客の受け入れ対応をめぐって、函館朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長は「多言語に対応した案内看板の設置が必要になる」と指摘。JTB北海道の高田悟函館支店長は、外国語が話せるバスガイドの不足を課題として挙げ、「現在は札幌などから人を呼んで対応しているが、函館で完結できるようガイドの養成を急ぐ必要がある」と述べた。
工藤市長は、若松埠頭整備後の客船寄港回数について「現在の倍となる70回を目標としたい」とした上で「引き続きポートセールスに力を入れるとともに、市民向けの見学会やツアーを企画してクルーズ客船への需要を喚起していきたい」と抱負を述べた。
このほか討論に先立ち、上田さんが「クルーズの魅力とおもてなしへの市民参画」と題して講演した。(山田大輔)