【森】森町の製材業「ハルキ」(春木芳則社長)は、後志管内の「ようてい森林組合」(船場實代表理事組合長)が提供するカラマツ材を使った高強度の「ようていプレミアム集成材」を開発、販売する。付加価値を高めるとともに、生産のAI・IT化を進める。道経済産業局と道農政事務所が農商工等連携促進法に基づき「農商工等連携事業計画」として認定しており、その認定式が22日、森町役場で開かれた。
同社はこれまで、住宅の梁(はり)などに使用する強度が高い集成材を輸入品に頼っていたが、仕入れ価格が乱高下し、調達が安定しないことから国産の材料を模索。高強度が特長の同組合のカラマツ材に着目した。同組合もさらに価値を高めブランド化を目指しており、両者の思惑が合致した。
同社は新年度から八雲町の集成材工場で開発を始める。道総合研究機構林産試験場(旭川)から技術指導を受けるほか、製造工程の中でAI・IT化できる部分を洗い出し、公立はこだて未来大と共にソフトを開発予定。また、最も人員を割くプレカット材の検品工程でAI技術を活用した画像判定技術を導入し省力化を図る。
プレミアム集成材はJAS規格を満たす。また、両者は国内の林業団体が定める「SGEC森林認証」を取得しているため、東京五輪関連施設などにも使用できるという。工務店やハウスメーカー、設計事務所などに販売し、5年間でみると同社が約1億6000万円、同組合は約6200万円の増収を見込んでいる。
式には、後志、渡島の両総合振興局や森町などの関係者約30人が出席。連携を支援する中小機構北海道の戸田直隆本部長は「地域資源のブランド化や生産性向上へ期待が大きい」とあいさつした。
認定書を受け取った春木社長は「羊蹄周辺のカラマツ材を貼り合わせたプレミアム集成材は、輸入品以上の強度を誇る。販路拡大が今後の課題」、船場代表理事組合長は「強度は林産試験場のお墨付きを得ている。少しでも地域経済に貢献できれば」と述べた。(稲船優香)