函館市の大泉潤市長は18日の定例記者会見で、記録的な不漁が続く道南スルメイカ漁に関し、漁業者の支援を検討する考えを明らかにした。イカ不漁に伴い、イカ以外の原材料から新商品を作る市内の水産加工業者向けの補助金についても「現行のままがいいのか、アレンジを加えるのがいいのか、支援の必要性は強く認識している」と言及した。
市長は「(昨年6~12月の市水産物地方卸売市場での取扱量は)316トンと過去最低を更新した。一方で観光客が回復し、1キロ価格は1346円と過去最高を記録している」とした上で「非常に厳しい状況なので、市はこれまでも漁業者の燃料費負担を軽減するため、2019年度から津軽海峡・近海を操業した場合に1回あたり1万円の補助を行っている。制度開始から5年がたち、イカ釣り漁業者の負担軽減にはつながっているとは思うが、他の漁業形態も燃料費の価格高騰が影響しており、総合的に勘案しながら漁業者の支援について検討したい」と述べた。また、18年度から市が実施している水産加工業者を対象にした「魚種転換支援事業補助金」も継続または見直しを行い、加工業者を支援する考えを強調した。
市長は能登半島地震の被災地支援のため、市として義援金100万円を支出し、日本赤十字社へ寄付することも表明。国や道の求めに応じ、保健師や応急危険度判定士の資格を持つ職員など市長部局からの派遣、市営住宅の提供を用意しているとした。
北海道新幹線の函館駅への乗り入れをめぐり、市が委託して進めている調査について、市長は「可能性を追求する調査を行っている。年度内に結果を得て、しっかりと話し合いをする」と述べるにとどめた。
また、新年度予算での重点を問われ、市長は「子ども、子育て、教育に力点を置く。一人暮らしの高齢者が多いまちの特徴も踏まえ、高齢者施策にも力を入れなければならない」とし、財源はふるさと納税の伸長や宿泊税の導入を適時適切に進める考えを示した。
一般ドライバーが自家用車を使用し有料で顧客を送迎する「ライドシェア」が4月から部分的に解禁される方針について、市長は2月に市内のタクシー業界と意見交換の場を設け、地元の実情を把握するとした。(山崎大和)
※動画は函館市公式動画チャンネルから