市立函館病院(森下清文院長)は、新型コロナウイルスによる重篤な肺炎治療などに使われる人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を新たに1台購入した。日常的に手術や救命救急センターで使用していた2台に加えて、今月から3台体制で稼働する。
エクモは、従来の人工呼吸器でも十分な酸素を取り込めない重篤な肺炎患者の肺機能の代わりを果たす装置。静脈から管を挿入し、体外に取り出した血液に酸素を補充してから体に戻す仕組みで、ダメージを受けた肺を一時的に休ませて機能回復を目指す。市病院局の氏家良人局長は「肺が悪くなっても延命できる究極の治療。ただ、延命できる装置であって治すわけではない」としている。
新型コロナウイルス感染者にエクモを使う場合は装着準備に医師や看護師ら約10人が必要となり、稼働時は専属の医療スタッフ3、4人が24時間管理しなければならないため、エクモを扱うことができる人員や労力が必要となる。
また、静脈から約1センチのカテーテルを挿入するため、新型コロナウイルス以外の細菌性感染や血栓による合併症を引き起こすリスクが懸念される。
日本集中治療医学会によると、道内で新型コロナ重症者にエクモを装着している事例は2日時点で2件。道南での使用例はないという。氏家局長は「感染爆発はいつ起こるかわからない。地域の医療を守るため、対策はしっかりと立てておきたい」と話している。(木村京子)