「長く座ると下腹部が痛い…」
それ、血管の病気かもしれません
「長時間座っていると、骨盤の奥が重く痛む」「夕方になると下腹部がなんとなくつらい」「検査では『特に異常はありません』と言われたけれど、違和感は続いている」—。もしこのような症状に心当たりがあれば、骨盤静脈疾患(骨盤鬱滞症候群)という血管の病気が関係しているかもしれません。あまり聞き慣れない病名ですが、実は女性に比較的多い病気で、気付かれないまま過ごしている方が少なくないと考えられています。生理痛や体質の問題と思われたり、原因不明の骨盤痛として長く悩んでいたりする方もいます。
この病気は、骨盤の中にある「静脈」という血管で血液の流れが滞り、血管が広がってしまうことで起こります。血液がたまることで、骨盤の奥の重だるさ、鈍い痛み、下腹部の違和感などが現れます。特徴的なのは、座っているときや立ちっぱなしのときに症状が出やすく、横になると楽になることです。デスクワークのあとに症状が強くなる、夕方になるとつらくなる、といった形で感じる方もいます。
こうした症状は婦人科の検査でも異常が見つからないことがあり「気のせい」「体質」と思われてしまうこともあります。しかし、血管の問題が原因となっている場合もあり、血管を専門とする医師が診断・治療できる病気です。画像検査によって血管の状態を調べることで分かることがあり、体への負担が比較的少ない治療法もあります。
もし「長時間座ると骨盤や下腹部が痛む」「原因が分からない下腹部の違和感が続く」「検査では異常がないと言われたが症状がつらい」といった症状がある場合は、まずは一般内科や産婦人科で相談してみてください。症状を伝えることで、必要に応じて血管の専門医へ紹介してもらうことができます。
「よくあること」と思っていた症状の中に、実は治療できる病気が隠れていることがあります。この骨盤静脈疾患はまだあまり知られていませんが、血管外科では診断や治療が可能な病気です。気になる症状があるときは、一度医療機関に相談してみてください。
略歴
平成14年、北海道大学医学部卒業後、手稲渓仁会病院、東京女子医科大学病院、森ノ宮病院、チューリッヒ大学病院勤務を経て、平成27年、市立函館病院に着任。日本外科学会外科専門医、日本循環器学会循環器専門医、日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医。
(ハコラク 2026年5月号掲載)



