平安時代から886年義経伝説を残した
海の守護神が地域を開運に導く
函館山の麓から〝巴港〟を見下ろす「船魂神社」。平安時代、融通念仏宗の開祖・良忍上人がこの地に赴き、「ここは神霊の宿る処である」と里人に伝え、1135年に「観音堂」を建てたのが起源とされる。鎌倉時代には源義経が津軽から渡航した際、船魂明神の加護に助けられた伝説が残され、古来より海の守り神として奉られてきた。〝ふなだまさん〟の愛称で親しまれ、近年は漁船やフェリー、貨物船、作業船の守護神として、また函館港や航海の安全を願い崇敬を受け、函館市内はもとより、全国各地の船に関わる人々が訪れている。
函館海上自衛隊や海上保安部も参拝するなど、船や海とのゆかりが深く、海上安全や大漁祈願のご利益が印象的な神社だが、御祭神の一柱・塩土老翁神は、潮流の神であると同時に、物事を良い方向に導く存在として海幸山幸神話に登場することから、船に限らず開運のご利益があると信じられている。船舶の操舵輪が刺繍された「舵守」は、航路・交通安全に加え、進むべき道を守護するお守りとして人気。水に浸すと文字が浮かぶ「水みくじ」や胸に秘めた願い事を水に溶かして神様にだけ伝える「祈願符」などもあり、地域の人たちの開運の導き手となっている。
(ハコラク 2021年11月号掲載)
船魂神社
函館市元町7‐2
☎0138‐23‐2306
社務所9:00~17:00
無休