大火を教訓に建てられた 大正モダンの面影残る 旧日本銀行函館支店
1989年に「函館市北方民族・石川啄木資料館」として開館し、93年「函館市文学館」の開館によりそれぞれが独立してできたのが「函館市北方民族資料館」。北海道、樺太、千島などのアイヌ民族をはじめ、北方民族の資料8,000点余りを収蔵。(公財)函館市文化・スポーツ振興財団が指定管理者として管理している。3階建て、地下1階の建物は26(大正15)年築の旧日本銀行函館支店を活用。24(大正13)年の大火で焼失した教訓を生かして建てられた鉄筋コンクリート造りで、54年の増改築時に設置されたエレベーターは形を変えつつも同じ場所で今も運転。外観正面には石製柱が当時のまま残る。銀行時代の面影を最も色濃く残しているのが、支店長室と応接室だったという2階の展示室。壁を彩るタイルや天井の繊細な彫刻など味のあるしゃれた意匠を間近に見ることができる。かつて、金融街として栄えたこの地区で経済を支えてきた建物は今、いにしえの文化を伝える貴重な資料を守っている。
(ハコラク 2019年12月号掲載)
函館市北方民族資料館
函館市末広町21-7
☎0138-22-4128
9:00~17:00(4~10月は19:00まで)
12月31日~1月3日は休館(ほか臨時休館あり)
入館料/一般300円、学生・生徒・児童150円