函館財務事務所(石井克憲所長)は18日、昨年10~12月期の経済概況「道南経済レポート」を発表した。個人消費で判断を引き下げた一方、観光が堅調なことや雇用情勢が改善していることなどを受け、総括判断を「緩やかに持ち直しつつある」と、10期ぶりに上方修正した。
観光は胆振東部地震の影響を受け、10月はフェリーやJR、航空機が軒並み前年同月を下回るなど回復しきれなかった。11、12月は一転して道内観光の早期回復を目的とした「ふっこう割」が好調だったほか、自治体などによる積極的な情報発信、道などによる海外メディア、インフルエンサー(影響力の大きい人)の招へいなどもプラスに働いたことで、函館圏への入込客数は11月で前年同月比1・6%増の15万2000人、12月で同4・5%増の16万人と、いずれも前年を上回った。このことから、判断を「堅調」と上方修正した。
住宅建設は函館、北斗市の新設住宅着工戸数をみると、持ち家は前年同期比6・7%減の168戸だった一方、貸家が同36・4%増の330戸、分譲住宅が同2・1倍の73戸だったことから、新築計は同24・9%増の571戸と前年を上回り、こちらも判断を7期ぶりに上方修正した。
今回の判断で唯一下方修正した個人消費は、ホームセンター(3社)などで前年同期を上回ったほか、管内主要大型小売店(6社)で前年並みだった一方、食料品スーパー(4社)は胆振東部地震に伴う買い込み需要の反動減もみられたことなどから、「持ち直しに向けたテンポが緩やかになっている」と判断を引き下げた。(野口賢清)