国際的な原油価格の低下によるガソリンの値下がりが加速している。函館市がまとめた11日現在の石油製品小売価格調査結果によると、レギュラーガソリンの平均価格は前月比4・15円安の1リットル127・79円となった。同調査で130円台を割り込むのは5年ぶりで、通勤で車を使う市民や建設、製造業者などは燃料費抑制が家計、利益につながる一方、石油販売業は売上高の低下に悩まされている。
市の調査で120円台を示したのは、直近で2010年10月の129・74円。ガソリン価格の下落は、中国など新興国の景気後退で原油価格が下がっていることが背景にある。さらに石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったことで供給過剰感が生まれており、函館地方石油業協同組合は「今後も小売価格が値下がる要素はある」とする。
市内小売業者は7日から16日現在で、フルサービスのスタンドで1リットル124円で販売。別のセルフスタンドでは会員対象に110円台を割り込むなど、低水準が1週間ほど続いている。
ただ、小売価格の下落は業界の低価格競争に拍車を掛け、売上高の低下を招いている。同組合によると、石油元売りの系列会社と余剰在庫製品を業者間転売品として、安価で購入する商社の間に1リットル当たり10円ほどの差があるため、競争が生まれやすいという。同組合は「年末にかけて競争が進むと、市況はより悪くなる」と危惧する。
このほかの石油製品では、家庭用灯油(1リットルホームタンク用)は平均73・14円(前月比0・58円安)、軽油1リットルで同108・6円(同4・37円安)、重油1リットルで同72・65円(1・1円安)と値下がった。
一方でプロパンガスは上昇し、5立方メートル平均で5929・74円(同6・85円高)、10立方メートルで9664・16円(同13・63円高)だった。
調査は卸、小売を兼ねる14店、小売販売の計29店で、今月11日に行った。(蝦名達也)