JR北海道が2012年に凍結したJR函館駅前のビジネスホテル建設計画について、来年秋の開業を目指して再検討していることが18日までに分かった。本業の鉄道事業の経営が厳しい中、北海道新幹線開業効果で増加している来函客を取り込み、収益改善を図る狙いとみられる。
北海道新幹線開業を見据え、子会社のJR北海道ホテルズが函館駅北口に面した約2000平方メートルの所有地に250室規模のビジネスホテル「JRイン」の建設を計画していたが、東日本大震災の復興需要などによる建設費高騰を理由に凍結していた。
JR北海道ではこれまで、貨物列車の脱線事故や車両火災などの相次ぐトラブルを受け、経営資源を安全対策に集中してきたが、鉄道事業が全路線で赤字を計上する中、好調なホテル事業の強化に乗り出す考えだ。
函館市などがまとめた北海道新幹線開業後の16年度来函観光客入り込み客数は前年度比13・3%増の560万7000人と、統計を開始した1955年以降で過去最多を記録。本年度は開業効果が落ち着きつつあるものの、外国人の宿泊客数が本年度上半期で約20万人と好調を維持している。
函館駅前では、大和ハウス工業(大阪)やWBFホールディングス(同)、ユニゾホールディングス(東京)がホテル建設を計画するなど、宿泊施設への投資が活発化している。(金子真人)