食と食卓の勉強会を始めて3年になる。月に一度、発酵食と調味料の研究をしている先生に丁寧にご指導いただいている。そら豆の季節には豆板醤(トウバンジャン)も作った。梅干しや新生姜(しょうが)の甘酢漬け、ニシン漬けや生ハムも作る。来月は米味噌(みそ)と麦味噌を作る。エスニック料理には欠かせない辛い調味油も作る。塩麹(こうじ)と醤油(しょうゆ)麹はもちろん、さまざまな調味料に事欠かなくなった。
季節の野菜は生でも加熱しても好みの調味料を添えれば素材の味をそのまま楽しめる。魚や肉は和洋中華、いかようにも自由自在。添加物もないので安心でもある。何キロも味噌を作っても消費できないとか、調味料はいろいろなものを少量ずつ買ったほうがよいという人もいるが、手作りにこだわるには他の理由もある。
稲作がそうだったように私たちは昔から食べ物は集落の仲間みんなで作り、分かち合ってきた。それは世界中で見られる光景だった。先日、アイヌ民族の文化を学ぶイベントで臼ときねで脱穀しながら歌う美しい輪唱を聞いたのだが、歌も踊りも日常の作業を通して磨かれ、伝わってきたのだろうと感動した。味噌づくりも一人では大変だが、みんなでやれば実に楽しい。
今月は柚子胡椒(こしょう)と柚子ポン酢を作った。唐辛子を西日本の一部では胡椒と呼ぶことも知った。大量に作ってみんなで分ける。食の原点はここにある気がした。こんな集いが子育ての悩みや高齢者の不安解決にも役立つのではないだろうか。先人の知恵に学び、この輪を広げていきたい。(生活デザイナー)