函館市は、クルーズ客船の乗客を対象とした広域観光ツアーの造成に本腰を入れる。若松埠頭(ふとう)の暫定供用開始で客船入港数の増加が見込まれる中、道南の自治体と連携し寄港地観光を充実させる考え。客船運航会社や旅行代理店関係者らに道南の魅力を知ってもらおうと、11月13日に東京で開くセミナーでPRする。
市によると、道南観光を楽しむ乗客向けのオプショナルツアーは、大手旅行会社が平均5つ程度の商品を提供。多くは函館市内を巡るメニューだが、リピーターの乗客が増加する中で定番以外の商品造成が課題となっている。
函館港に接岸する多くの客船は早朝に入港、夜遅くに出港するため、停泊時間10時間を超す。下船後にバスで大沼や江差などを回るツアーもあるが、一部にとどまるのが現状だ。
道南全体でクルーズ振興を図る契機にしようと、都内の海運クラブで開く「みなみ北海道クルーズセミナー」は函館、近郊の自治体、観光関係者などが出席予定。函館港利用促進協議会、函館国際観光コンベンション協会との共催で、客船にちなんだ都内でのセミナーは通算3回目。市が函館港の現状を紹介するほか、各市町が魅力を売り込む。
今年は函館港に27隻の客船が入港し、3年連続で道内最多となる見込み。来年は、世界的に有名な英国の豪華客船「クイーン・エリザベス」(9万900トン)を含む過去最多の50隻前後が入港する予定。市港湾空港部によると、同船の船社から、函館で特別な体験メニューを用意できないか問い合わせがあったという。
こうした要望は今後も増加が見込まれる。一方、多数のツアーを並べることは旅行会社の負担も大きいことから、市港湾空港振興課は「少人数の参加でも単価が高い旅行商品など、乗客のニーズに合致し、利益を生み出す観光メニューの造成を検討したい」とする。
セミナーは午後3時~同6時半。定員100人。申し込みは31日まで。問い合わせは同課(0138・21・3493)へ。(山田大輔)